あらすじ
ごきげんよぅ、ノーベルです。
それではまずは簡単にストーリーのあらすじを少々。
時は1986年11月29日横須賀。
横須賀の郊外にある柔術道場「芭月武館」に異変が起きていた。
主人公である芭月涼は、高校三年生の芭月武館の跡取り息子。雪のちらつく中急いで自分の家に戻るとその異様な空気に身構える。
いつもの門に掲げられている看板は折られ、玄関先に入ると住み込みのお手伝いさん・稲さんが倒れていた。
庭先にある道場の方に不穏な空気を感じて近寄ると、同じく住み込みの門下生である福さんが道場の扉越しに外に吹っ飛ばされた。
いつもより険しい表情で対峙する男とにらみ合う父・巌は視線を男に向けたまま静かに言う。
「来るな、涼」
近寄ろうとする涼を制止する二人の黒服の男。
巌と向き合う男は、緑を基本色とする豪華な装飾がなされた中華服を着た長髪を後ろに束ねた異様な雰囲気を漂わせている。
変わらず手を後ろに組みながら男は巌に口を開く。
「もう一度聞く。鏡はどこだ?」
巌は即答。
「答える気は…ない!」
すかさず真剣組み手を始める二人だが、巌はかなわず吹き飛ばされる。
助けに入ろうとする涼を振り向きざまに一蹴する男。
彼の名は藍帝。
なおも鏡の場所を答えようとしない巌に、氷のように冷たい藍帝の瞳は、巌の実子・涼に注がれる。
片手で涼を持ち上げ抜き手でとどめを刺そうとする藍帝に、巌はついに鏡のありかを話す。
黒服が確認に向かっている間、藍帝は巌に尋ねる。
「趙孫明を覚えているな?」
「まさか・・・」とたじろぐ巌に、藍帝は言う。
「最期は武術家らしく死なせてやる。来い」
巌の奮戦も虚しく藍帝の回し蹴りが巌に決まり、巌は吹っ飛ぶ。
藍帝は黒服が掘り出してきた龍の紋章が彫られた鏡・龍鏡を手に取ると、そのまま振り向きもせずに黒服たちと去っていく。
なんとか立ち上がった涼は父・巌の快方に向かうものの、父は先立つことを許せと詫び、「愛すべき友を持て」と言葉を遺してこの世を去るのだった。
しばらくまともに立ち上がれなかった涼は、ようやく悪夢にうなされ続ける夜から目覚めると、父の仇討を心に誓うのだった。